お小遣いが増えない時代の対応策
皆さまの1ヵ月のお小遣いはどれくらいですか?
2016年6月末に、新生銀行が「2016年サラリーマンのお小遣い調査」を発表しました。
この調査は1979年からほぼ毎年、30年以上にわたって続けられている歴史があり、その結果は、さまざまなニュースやメディアでも使われています。
先日も、テレビを見ていたら、消費増税見送りの決定を受けてサラリーマンの懐事情は改善するか?という特集をやっていて、東京・新橋駅前でサラリーマン男性にインタビューをする映像と合わせてこの調査結果が使われていました。以前からこの調査を知っている私には、まさに“鉄板の組み合わせ”だと、思えるほどでした。
今回の調査によると、男性会社員のお小遣いの平均額は37,873円。女性会社員のお小遣い平均額は33,502円でした。男性会社員のお小遣い額は、前年と比べて231円微増ながらも、水準は1979年の調査開始以来過去3番目に低い金額だそうです。
ここ数年は、アベノミクス効果で、日本の株式市場は上昇基調にありましたが、どうやらその恩恵は、サラリーマンのお小遣いアップにはつながらなかったようですね。
今後も増税や社会保険料の負担は増える可能性があり、どうやら、今後国内の景気が大幅に改善するなどがない限り、サラリーマンのお小遣いを取り巻く環境は厳しさが続きかねません。
では、この様な状況下、どうするか?今回は少し資産運用の話とは異なる話もありますが、対策を考えてみたいと思います。
お小遣いが増えない!対策は?
1.ポイントサービスの活用
今では、家電量販店やコンビニにとどまらず、百貨店や金融機関でも様々なポイントサービスを提供しています。お小遣いが限られる中で、コツコツ貯めたポイントは支払いにも充てられる場合もありますので、ありがたい存在になることもあるでしょう。今回のお小遣い調査でも、ポイントやアンケートサイトを多くの方が活用しているとの結果がありました。
2.使える制度はどんどん使う
税金の控除や、資産運用をされている方なら、NISA制度の活用など。使える制度は積極的に活用するようにしましょう。
3.節約!生活の固定費を見直し
今回のお小遣い調査の中には、「お小遣いのやりくりと節約術」という調査項目があります。男性会社員のやりくり術上位は、「昼食費を安くする」、「外で飲む回数を減らす」、「弁当を持参する」といった、主に飲食面での節約が並びます。とはいっても、お昼ご飯は食べないわけにもいきませんし、おつきあいでの飲み会などもあるでしょう。これらのやりくりにも、限界があります。
固定費の削減は、月単位では少額でも、毎月継続的に、かつ数年にわたって効果が続きますので、積極的に検討するべきでしょう。もちろん、その削減による効果がお小遣いUPにつながるかどうかはわかりませんが、家計にはプラスに働きます。
一般的に見直し余地が大きいとされるのが保険の見直しです。また電気料金は2016年4月の電力小売りの自由化により、さまざまな企業が参入。料金プランも多種多様になっていますので、ご家庭にあったプランがあれば電気代を安くおさえられます。
同じく “格安スマホ(割安なSIMをつかったスマートフォン向けサービス)”も数々の業者が参入し競争が激しくなっているので、消費者側には見直しの好機ともいえるでしょう。
もし住宅ローンを利用されている方であれば、マイナス金利政策を受けて、借入金利も相当に下がっていますので、借換えの検討も考えてみてはいかがでしょう。
4.資産運用も大切
節約も大切ですが、将来に備えての資産形成や家計収支の改善を目指して資産運用を取り入れることも、今の超低金利時代においては益々重要性が高まっていると言えます。そのため、資産運用にはリスクもありますが、許容できる範囲内での資産運用は検討すべきだと思います。将来に備えてしっかり資産形成しておけば、いずれはお小遣いのアップにつながるかもしれません。
ライフイベントに応じた資産配分
年代別でお小遣いが最も少ないのが男性、女性ともに40代会社員。子育てや教育費用の負担が重くなる世代です。資産運用に回せる資金も少ない時期にあたります。お小遣いも少なくなるなか、ここで無理に資産運用をする必要はありません。まずは、うまくやりくりをしながら、ライフイベントに応じた資産配分を心掛けてください。
社会の変化を映し出すお小遣い
このお小遣い調査には、ほかにも、既婚男性会社員の3人に2人が給料を全額家庭に入れているとの回答や、サラリーマンの「飲み事情」や1回の飲み会で使う金額といった結果も見られます。
飲み事情の傾向は、お小遣いがほとんど増えていないために回数は減り、金額も減少傾向にあります。しかも前述のように子育てや教育費用の負担が重くなる40代は、お小遣い額は30代よりも少ないにもかかわらず、飲み代は30代よりも多くなっており、苦しい懐事情ながら会社での立場もあるのかな・・・大変だなぁと、思わず哀愁を感じてしまうようなデータもあります。
また毎年のお小遣い調査のほか、新生銀行のホームページには、「お小遣い調査30年白書」(2012年発行)という歴史を紐解く情報もあり、お小遣いが社会の変化を映し出している様子が伺えます。
景気動向と家計消費が連動しなくなりつつある状況などは、運用を考える上でも学ぶところがあるように思います。お時間のあるときに、目を通してみてはいかがでしょう。
最後に、この調査が、お小遣いを減らす理由に使われないことを願うばかりです。
執筆者プロフィール