税控除の活用
「年末調整」は、サラリーマンにはおなじみですね
「税控除」と聞いて、よくわからない・・・と感じた方も少なくないと思いますが、会社員の方なら、11月から12月にかけて会社から「年末調整」の書類の提出を促されたことがあると思います。
毎月の給与から源泉徴収されている所得税はあくまで概算に基づくものです。たとえば、賞与は5ヵ月分として、給料は1年間を通して変動がないものとして計算されています。配偶者控除などの所得を控除できるものも反映されていません。そこで、年末に本来の収入額や控除額を確定させて、正確な納税額を計算し直し、概算にもとづいて既に支払った源泉徴収分との差額を還付または徴収しようとするのです(年収2,000万円を超える場合は対象外)。これが年末調整による「税控除」です。
年末調整の税控除の中でも、最も馴染みがあるのは生命保険や地震保険などの「保険料控除」ではないでしょうか。1年間に支払った保険料を所得控除できるのです。会社員の方なら、今年も年末調整をする際に、保険会社から送られてきた「保険料控除証明書」を会社に提出された方も多いと思います。
ふるさと納税をした方
身近な税控除の例として、「ふるさと納税」もあげられますね。ご利用された方も多いのではないでしょうか。
ふるさと納税は「納税」という名前がつけられていますが、税制上では「寄付」にあたります。都道府県や市町村の団体にふるさと納税をした人は、その合計額のうち2,000円を超える金額が、その年の所得税と翌年度の個人住民税から控除できます。
納税額の計算は、1~12月の1年間を1区切りとしています。そのため12月に駆け込みで寄付をする人も多いようです。また年間の納税可能額には年収によって異なりますが、上限額が設定されていますで、12月までに上限枠を使い切るようにする方もいらっしゃいます。
もしふるさと納税を考えている方は、年内をひとつの目途に考えたほうが良いかもしれません。
なお本来、ふるさと納税のような寄付金控除には確定申告が必要ですが、ふるさと納税については2015年4月から納税先が5団体以下なら確定申告が不要になる「ワンストップ特例」という制度が始まりましたので、便利になりましたね。
個人型確定拠出年金も、年末調整や確定申告をお忘れなく
2017年1月から、20歳以上のほぼ全員が加入できるようになる個人型確定拠出年金。この制度の最大のメリットは節税といえます。掛け金の全額が所得控除されるからです。ただ注意したいことは、この控除を受けるためには、原則として自分で申告をする必要があるということです。
自営業やフリーランスなど(国民年金第一号被保険者)の方は、10月から11月にかけて「小規模企業共済等掛け金振込証明書」が運営管理会社から送られてきます。この書類が、確定拠出年金に拠出した掛け金の証明書になります。
確定申告の際に、この証明書を(証明書発行以降に拠出した掛け金はそれがわかる銀行の通帳のコピーなどを添付して)税務署に提出しましょう。
会社員の方(国民年金第二号被保険者)で、給与から天引きで掛け金を拠出している場合は会社(事業主)が手続きをしてくれます。証明書は発行されず手続きも必要ありません。自分の口座から掛け金を拠出している方は、自営業等のケースと同様に「小規模企業共済等掛け金振込証明書」が送られてきます。この証明書に記載された金額を年末調整の書類(給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書)の「小規模企業共済掛金等控除」欄に記入し、会社に提出しましょう。
これらの手続きをしないことには、掛け金が控除されず節税の恩恵を受けることができません。忘れずに申告しましょう。
少し話が逸れてしまいますが、この手続きで戻ってくる税金(還付金)は、申告してから1ヵ月から1ヵ月半後に、指定した口座に振り込まれます。また、年末調整の還付金は、サラリーマンなら12月の給料支払いと一緒に受け取ることになると思います。
お金が戻ってくると、つい嬉しくなって浪費してしまった・・・という方もいらっしゃいますが、そのようなことのないようにしたいものですね。
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