円高になったときの外貨活用法
円高になって、為替差損が・・・
これまでにもご説明してきたように、外貨に投資すると、外貨を購入・預入したときより円安になると為替差益が得られる反面、円高になると為替差損をこうむります。
ただ、円高になった場合でもその外貨を円に戻さなければ、含み損を抱えているものの、実損失が生じるわけではありません。そこで今回は、外貨を円に戻さずに外貨のままで活用する方法について、外貨預金のケースで見てみましょう。
基本は"待つ"
外貨預金に預けて円高になってしまったときに、最もシンプルな方法は、円安になるまでを待つことでしょう。外貨普通預金ならそのまま預け入れを続けることもできますし、外貨定期預金などを利用することもできます。また外貨定期預金の場合は、満期が来たときに再度定期預金として継続したり、あるいは元金と利息を外貨の普通預金に移したりして預け入れを継続することもできます。
とはいえ、いつ円安になるかを予測するのは難しく、円安になることを待ち続ける場合でもそれが数ヵ月あるいは数年かかるかもしれません。場合によっては待っていたらさらに円高が進み、含み損が拡大してしまうこともあるでしょう。したがって、少しおさらいになりますが、外貨預金には、使う時期が決まっているお金を預けるのは望ましくありません。外貨預金は使い道の決まっていない、余裕のある資金を預けることが大切です。
外貨のまま使う
外貨のまま使うという方法もあります。
銀行によっては、外貨預金を外貨のまま引き出せるカードを扱うところがあります。例えば新生銀行で取り扱っている「プリペイドカード GAICA(Flex機能付き)」(発行:アプラス)は、1枚のカードに円のほか外貨預金の米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドルの4通貨をチャージできます。それを、海外出張・海外旅行などのときに海外のATMで引き出して、現地で使うことができます。
このような外貨を海外で利用できるサービスを利用することで、預入した外貨を円に戻すことなく外貨のままで使うことが可能となります。また、米ドル、ユーロなどの主要通貨であれば、一部日本の銀行の本店や大きな支店の窓口なら外貨のまま引き出せる場合もあります。さらにこのほかにも、留学や海外赴任などで海外にいる家族などに、外貨を送金する方法もありますね。
ただし、いずれの場合も注意したいのは手数料です。たとえば、ご紹介したGAICAの場合、外貨預金をカードにチャージする際に手数料がかかります※。またそのほかのサービスでも外貨引き出しや海外送金の際には手数料が高額となる場合もあるので、事前によくサービス内容、特に手数料などの費用については、充分に確認するようにしてください。
(※このほか海外ATMで現地通貨引き出し時にも手数料がかかります)
別の外貨建て商品を購入する
外貨建ての金融商品の中には外貨で購入できるものもあります。保険商品、債券、投資信託など近年は外貨で運用できる商品の拡充が各金融機関で進んでいます。選択肢が増えてきているのは、運用をはじめるわたしたちにとってはうれしいことですね。
ただし、外貨で運用できる商品ラインナップは、金融機関によって大きく異なります。また商品性が難しいものも少なくありません。そのため、購入する商品が自分の投資目的に合っているのかどうかや、商品の仕組みやリスクをきちんと理解できるかどうかも重要な判断ポイントとなるでしょう。
外貨投資では為替レートの影響を免れることはできませんが、ここに挙げたような外貨を外貨のままで活用するという可能性を考慮に入れて、外貨運用を考えてみてはどうでしょう。
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