投資の失敗とは損失ではない?知っておきたい失敗を招く行動と考え方

「投資で失敗」というと、どのようなことを想像するでしょうか。「上がると思って買った株が下がって大きな損失が出た」「タイミングを逃して、絶好の株を買い損ねた」などと考える人は多いでしょう。実は投資の失敗とは、損失が出ることではありません。
ここでは、投資で利益を得るために知っておきたい投資の失敗の意味と、失敗してしまう理由のほか、失敗しないために気をつけたいことをご紹介します。

投資の失敗とは投資が続けられなくなること

資金を投じて買った株や投資信託が予想とは反対に動き、損失が出ると「投資に失敗した」と考えがちです。しかし、実はこの考え方は正しいとはいいきれません。

投資とは、「今ここでお金を投じておけば、将来それ以上の利益になって返ってくるだろう」と予測して、資金を投じる行為です。しかし、将来何が起こるかは誰にもわかりませんから、どんなに情報を集めて研究しても、損失を0%に抑えて常に利益を上げ続けることは不可能です。損失は、投資を行っていれば必ず経験するものなので、損失が出たことをもって「投資に失敗した」とはいえないでしょう。

投資における失敗とは、投資自体が続けられなくなることです。具体的には、元本を大幅に失って物理的に投資を続ける資金がなくなるか、大きな損失の発生に心が折れるなど、時間的・精神的な面から投資が続けられなくなることを指します。また、直接元本が減ったわけではなくても、何らかの理由で有益な情報を得られなくなって投資の継続が難しくなれば、失敗したといえるでしょう。

多くの場合、投資の失敗には感情が関わっています。投資で失敗しないためには、感情をうまくコントロールして守るべきルールを徹底し、投資を続けられる土台を作ることが大切です。

投資で失敗しないために知っておきたい投機との違い

投資に失敗する理由を見ていく前に、まず確認しておきたいのが「投資」と「投機」の違いです。

投資は中長期的に資産を増やすための資本投下

投資とは、中長期的に資産を増やすことを目指して、企業の成長や収益の増大を期待して資本を投下することを指します。
例えば、企業のビジネスモデルや経営方針、業界の動向などの情報を集め、将来的に成長が見込めると判断した上で、株式を購入。その資金を使って企業が成長することで、配当金や株価が高まった株式の売却益を得る株式投資は、「投資」の代表例です。

投機は短期的に収益を上げるための資本投下

投機とは、短期で収益を上げることを期待して、資本を投下する行為のことです。株式投資の中でも、当日に売買を完結させるデイトレードや数日~数週間の短期で完結させるスイングトレード、FX(外国為替証拠金取引)の短期売買などが投機にあたります。
投機は、投資先企業の分析はあまり重視されず、短期的な株価の変動がどうなりそうかに注目して、資本の投下先を決めるのが特徴です。短期間で大きな利益を上げられる可能性はありますが、投資に比べてギャンブル性が高いといえます。

投資と投機はどちらが良いというものではありませんが、中長期的な資産形成を目指すのであれば、必要なのは投機ではなく投資です。
自分が今行っているのが投資なのか投機なのかを理解した上で、投資を中心とした資産運用を行っていくことが大切です。

投資に失敗する理由は感情に沿った行動にあり

運用する資金を大幅に失ったり、精神的なダメージを受けて投資が続けられなくなったりと、投資に失敗してしまう理由は、私たちが感情に沿った行動をとってしまうことにあります。

人間の感情と投資行動の関係については、行動経済学で研究が進められており、人は儲かる喜びより損をする苦痛のほうを強く感じることがわかっています。人は、利益はなるべく早く確実にしたがる一方、損失には向き合わず、先送りする行動をとってしまうのです。
多くの人が無意識にやりがちで、失敗の原因になってしまう行動や考え方には、次のようなものがあります。

後悔回避

人は「後悔すること」が嫌いなので、無意識のうちに後悔を避ける行動を選択しています。購入した株が予想に反して下落した場合、被害を最小限に抑えるには、傷が浅い段階で損切りをするのが一番です。
しかし、損切りをすると自分の読み違いを認めることになり、「なぜこの株を買ってしまったのか」と後悔が発生することから、損切りできずに持ち続けてしまうことが少なくありません。その結果、投資資金が大幅に減り、取り返しのつかない損失につながることもあるでしょう。

損失回避

人は、利益よりも損失に敏感なので、購入した株が少しでも下がると不安になります。長期間保有すれば大きなリターンが見込まれる株でも、日々の株価変動で少しでも値下がりをしていると落ち着かず、精神的苦痛を感じて手放してしまうのはこのためです。
また、含み益が出ているときは早めに利益を確定したがる一方、損失が出ているときはリスクをとってでも損失を減らそうとしてしまうため、結果的に利益は小さく、損失は大きくなりがちです。

決定麻痺

人は、多くの選択肢があると、かえって合理的な判断がしにくくなります。また、上中下と3つの選択肢があると、真ん中のグレードを選ぶ傾向があります。
これは、投資の種類や銘柄を選ぶときにも影響し、自分に合っていないものを選択してしまうことがあるのです。

メンタルアカウント(心理的財布)

人は、お金に対して何か意思決定を行うとき、さまざまな要素を考えて合理的に判断するのではなく、狭い視野で判断しがちです。一生懸命働いて得た10万円は大事に使おうとするのに、宝くじで当たった10万円はパッと使ってしまうのはこのためです。
投資で得た利益も簡単に使いきってしまったり、確実性の低い投資に投入してしまったりということを行いがちです。

投資で失敗しないために決めておくべきルール

先に紹介したような行動は、無意識に行ってしまうもの。これらの行動による投資の失敗を防ぐには、あらかじめ守るべきルールを決めておき、自分の心情よりルールを優先することが効果的です。
次の項目についてあらかじめチェックし、どう行動するのかルールを定めておくといいでしょう。

投資の目標、目的を明確にする

20年かけて老後の蓄えを作りたい人と、5年間で資産を倍増してアーリーリタイアしたい人では、当然ながら選ぶべき商品や投資方法は違ってきます。自分は何のために投資を行い、目標はどうなることなのかを考えることが、失敗しない投資への第一歩となります。

目標・目的に合った商品を選ぶ

投資商品には、ハイリスク・ハイリターンのものもあれば、ローリスク・ローリターンのものもあり、どれが最適な商品かは、選ぶ人の投資目標や目的によって変わります。自分の目標・目的にしっかり合った商品を選ぶことが大切です。

保有中の手数料も把握する

投資信託は、購入時にかかる手数料のほか、保有しておくのに信託報酬という手数料がかかります。また、FXで高金利通貨を売って低金利通貨を買い、そのポジションを保有しているあいだは、毎日スワップポイントの支払いが発生します。このように、投資商品によって保有中に発生するコストも、しっかり把握しておくことが重要です。

損切りのラインを決めておく

損切りの先延ばしによる損失の拡大を防ぐために、あらかじめ損切りラインを決めておきます。「購入価格から10%下がったら」でも、「6ヵ月」などの期間でも構いません。あらかじめ決めておいた価格に達したら、自動で売り注文を出すように設定しておけば、感情に負けてルールを破る心配もないでしょう。

短期間で大きく増やす方法を避ける

短期投資で大きな利益を出すことは不可能ではありませんが、コンスタントに結果を出し続けるのは難しく、投資初心者がいきなりできるものではありません。特に投資に慣れないうちは、短期投資は避けるのがおすすめです。

1つの投資先に集中しない

投資先を1つに集中していると、投資先がダメになったときにすべての資産がダメージを受けてしまいます。投資先は何ヵ所かに分ける分散投資が失敗しないためのコツです。

少額から始めて自分でも知識を得る

投資で利益を上げるためには、投資対象や経済指標の読み方、グラフの読み解き方などの勉強が欠かせません。少額から始めて、自分でも勉強して知識をつけていきましょう。

投資で失敗しないために投資商品の性質を知っておこう

投資というと株式投資が有名ですが、投資商品にはほかにもさまざまなものがあります。 最後に、投資商品を簡単にご紹介しますので、自分の投資目的・目標に合った商品を選ぶ参考にしてください。

・銀行預金
銀行預金は元本が保証されるのでリスクはほとんどありませんが、現在の金利はほぼ0%に近く、資産を増やしたい場合には向いていません。ただし、ペイオフ制度によって、万が一銀行が破綻しても、1つの金融機関につき1,000万円とその利子分は保護されるという安心があります。

・株式投資
株式投資は企業が発行する株式を売買する投資で、値上がり益、配当金、株主優待の3つの方法で利益を得ることができます。株式は経済や社会の状況に影響を受け、元本保証もありません。選ぶ株式によって、ハイリスク・ハイリターンの投資商品となることもあります。

・FX(外国為替証拠金取引)
FXは、海外通貨の売買によって為替差益を得る投資商品です。自分が預けているお金以上の金額で取引ができる「レバレッジ」により大きな利益を上げられる可能性がありますが、失敗した場合の損失も大きくなります。元本保証もなく、ハイリスク・ハイリターンの投資商品です。

・外貨預金
外貨預金は、ドルやユーロなどの外貨で預金し、金利や為替差益でリターンを得る方法です。円建てに比べて高い金利と為替差益を狙えるメリットがあります。円建て預金と違い、元本保証がなくペイオフの対象にはなりません。

・個人向け国債
個人向け国債は、国が個人向けに発行する債券で、0.05%(年率)の最低金利保証 がついており、半年ごとに利子が支払われます。満期時には額面金額が戻ってくる、ほぼリスクのない商品で、1万円から始められます。

・投資信託
投資信託は、資金を資産運用のプロに預けて運用してもらう方法で、利益が出れば投資金額に応じて分配されます。保有中は信託報酬がかかり、購入時や解約時も手数料がかかる場合があります。

・ETF(上場投資信託)
ETFとは、証券取引所に上場されており、株式のように取引が可能な投資信託です。売買手数料や信託報酬といった運用コストが低めなところが魅力のひとつです。

・不動産投資
不動産投資 は、不動産を購入し、売却利益や家賃収益を得る投資方法です。賃貸物件にして入居者がいれば、安定した収入が期待できる一方、初期投資額が大きい、維持管理コストがかかるといったデメリットがあります。

・J-REIT(不動産投資信託)
J-REITは、不動産投資法人が投資家から集めた資金で不動産を購入し、家賃収益や売買益を投資家に分配する投資商品です。不動産投資を行う法人は、利益の90%以上を分配すると法人税が実質的に免除となるため、利益の大部分が配当金となることが多く、そこが魅力となっています。

ルールを決め、守ることが投資の失敗を防ぐ

多くの場合、投資の失敗は感情に沿った行動をとってしまうことに由来します。投資で失敗せず、安定的に続けて資産を築くためには、投資についてしっかり学ぶことが重要です。
また、投資を行うときにとりがちな行動を知り、それを防ぐための投資のルールを決めておくことが大切といえるでしょう。


監修者プロフィール
吉田 祐基
ライター・編集者。AFP/2級FP技能士。マネー系コンテンツの制作が得意。これまで東洋経済オンライン(東洋経済新報社)、日本経済新聞(日本経済新聞社)、Finasee(想研)などで企画・編集・執筆を担当。

 

執筆者プロフィール

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
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