SDGsを楽しもう!時事YouTuberたかまつななが基本を解説

最近、さまざまな場面で耳にする「SDGs」というワード。環境にいいことをする話?社会貢献…?わかっているようで実は意外とよく知らないという人も多いはずです。
SDGsの伝道に力を注ぐ時事YouTuberのたかまつななさんに「SDGsとは何か?」をはじめ、SDGsに取り組む意義と、今日からできるアクションまでわかりやすく解説していただきました。

企業が今SDGsに必死に取り組む理由

――今、さまざまな企業から「SDGs」というワードが出てきているように感じます。企業がSDGsに注力し始めているのはなぜですか?

たかまつさん(以下敬称略):
ズバリ、SDGsに取り組んでいないとお金が集まらなくなるからです。
お金が集まらなくなる理由としては、ESG投資(※1)が増える中で、SDGsに消極的である企業は投資が受けられないケースが増えることがあります。もうひとつは、消費者の意識が高まっていく中で、商品やサービスを買ってもらえなくなることが考えられます。

コンプライアンスが守られていない企業が手掛けた商品の不買運動が起きたり、MeToo運動(※2)で人権問題が露呈した企業が経営破綻に追い込まれたりといったケースがこれまでにもありましたよね。これからは、SDGsの観点に配慮していないことで取引ができなくなる、あるいは消費者が離れる可能性があることを、企業は無視できなくなっているのです。

※1 環境、社会、企業統治などの要素を重視した投資。
※2 セクシュアルハラスメントや性的暴行を受けてきた人たちが、SNSを利用して被害を告白する運動。

――企業がSDGsに取り組む上では、どのような視点がポイントになってくるのでしょうか?

たかまつ:
長期的な視点で社会を捉えるということでしょうか。短期的な視点で考えてしまうと、企業がコストをかけてSDGsに取り組むことは、一見、損にも見えるかもしれません。ところが、長期的な視点で考えれば、今からきちんと取り組むほうが、圧倒的に利益は大きいのです。
取り組まなかった先に待ち受けている企業のリスク(お金が集まらない、消費者から見放される)や社会的なダメージ、そこでかかってくるコストと、今取り組んで得られるベネフィットを比較したら、それがわかるでしょう。

例えば、女性が子育てをしながら働きやすい環境を整えることは、今だけで考えれば企業にとって経済的な損失かもしれません。でも、長期的な視点で捉えれば、本当に損なのでしょうか?性別問わず働きやすい会社であれば、その価値は上がりますし、社会全体が働きやすい世の中であるほうが、女性のみならず男性にとっても良いことは明白です。そして、企業の売上も長期的に見れば上がるはずです。

――SDGsについて企業が取り組む場合、経済発展と環境への配慮など、両立する難しさもあるようですね。

たかまつ:
その点が、企業がSDGsに取り組む難しさですよね。でも、企業の存在こそがSDGsの肝なんです。国が取り組むだけではなく、企業をいかに巻き込んで取り組むかが、SDGsのキーコンセプトになっています。

しかし、企業が取り組むSDGsについて、「ここまではできている。ここは難しいのでまだできていない」といった具合に、進捗状況について公平な評価を下すシステムが存在しません。また、企業が取り組み内容の経過や、迷っていること、そして矛盾までも本音で語り、消費者と正しくコミュニケーションできていければ理想なのですが、実現できているとは言い難いです。

企業が取り組むSDGsが、単なるブランディングや、あるいはCSR(※3)の延長のようになってしまっては意味がありません。企業が経済活動と環境への配慮などの矛盾を抱えながらも本気で取り組み、それをどう正しく評価していくのかは、今後の課題でもあると思います。

※3 企業が組織活動を行う際に担う社会的責任のこと。社会的責任とは、従業員や消費者のほか、投資者や環境などへの配慮、そして社会貢献といった幅広い内容に対して、適切な判断や処理を行う責任を指す。

SDGsとはそもそも何か?取り組まなかったら未来はどうなる?

――SDGsというと17個の目標が掲げられていますが、どのような特徴があるとお考えですか?

たかまつ:
興味深いのは、これまであまり同時に語られてこなかった分野、例えば「貧困をなくそう」に関わる経済発展の課題と「気候変動に具体的な対策を」に関わる環境の課題について、同時かつ持続可能な解決方法で取り組んでいこうということですね。経済、環境、社会のバランスをとりながら取り組む必要がある、それがSDGsなんです。

――そもそもなぜ、SDGsに世界中が取り組むことになったのでしょうか?SDGsが掲げられた背景を教えてください。

たかまつ:
まずは今、地球がどのような状況に立たされているかというと、私たち人間の営みが環境破壊、格差、貧困…さまざまな危機を招き、限界を迎えているといえます。このまま何も手を打たないとどうなってしまうのか?身近なことで考えてみてください。

まず、地球のCO2がこれまでのスピードで増え続けると、温暖化が進み、氷河が解けて海面が上昇します。産業革命前よりも地球の気温が4℃上昇すると、世界でおよそ6億人の暮らす場所が水没するという試算もあります。気候変動の問題は食料危機や災害などの問題にも直結している、本当に大変な問題です。
また、私たちにとってなじみの深いマグロのお寿司。それが将来お寿司屋さんから消えるかもしれません。太平洋クロマグロは、2014年には絶滅危惧種に認定されています(※4)。数が減った要因のひとつには、マグロをとりすぎたことにあるといわれています。

ほかにも、格差が広がることによって貧困や差別で行き場を失う人が増えれば、治安情勢が不安定になる可能性がありますし、このまま少子化が加速すれば、今は若者が賑わう都市部の街も存続が厳しくなるかもしれません。人口が減って税収が減れば、公共施設の閉鎖や補助金の廃止などが始まる可能性だってあります。

※4 2021年9月に準絶滅危惧種に引き下げられたが、危機的状況には変わりはない。

――お聞きしているだけで「このままではいけない…!」と思います。そのような危機感から、SDGsが考えられるようになったんですね。

たかまつ:
例として挙げたことは、ほんの一例に過ぎません。ほかにもさまざまある地球の課題、世界の課題を解決するために、2030年までに達成するという期限を設けて17の目標を立てた。それがSDGs(Sustainable Development Goals)です。日本語に訳すと「持続可能な開発目標」となります。

実は、SDGsの前身にMDGs(Millennium Development Goals)というものがありました。このMDGsは、例えば「貧困の解消」といった目標が多く、どちらかというと開発途上国の課題解決の意味合いが大きいものでした。一方のSDGsは、開発途上国だけでなく先進国にも課題はあるよねという視点から「No One Will Be Left Behind(誰一人取り残さない)」をスローガンに掲げて目標を立てています。そこは、MDGsと異なる点です。

また、私はSDGsには法的拘束力がないことが、非常に大きなポイントだと思っています。強い拘束力があると、例えばパリ協定(※5)からトランプ政権時のアメリカが離脱したように、必ず反発する国が出てきます。拘束力がなければ意味がないという意見もありますが、拘束力を伴わなかったからこそ世界が同じ方向を向いて合意できたのではないでしょうか。

※5 2015年にパリで採択された、気候変動問題に関する国際的な協定のこと。

私たち一人ひとりが今日からできるSDGsへのアクション

――企業や国が取り組みを進める一方で、私たち個人ができることもあるのでしょうか?

たかまつ:
個人が今日からできるアクションはたくさんあります。例えば、食品ロスの問題。日本の食品ロス(食べられるのに捨てられる食品)の量は、年間約600万t(2018年度推計)です。1日に国民1人がおにぎり1個を捨てているイメージになります。外食で残すことが多い場合は、注文時にあらかじめ量を少なくしてほしいと伝えるのもひとつの方法です。

ただ、食品ロスの多くは外食店から出ていると思うかもしれませんが、それは間違いです。600万tのうち約46%は家庭から出されています。この問題に対して、例えば「賞味期限と消費期限の違いを知る」ということもアクションのひとつです。
賞味期限は期限が切れていたとしても、未開封などで保存方法が守られている状態であれば、品質の劣化が緩やかなので食べることができます。賞味期限が切れているからといって、状態が保たれているなら捨てずに消費しましょう。

――小さなことからで良いのですね!

たかまつ:
そうですね、誰か一人が仙人のような暮らしをするのではなく、みんなが少しずつ取り組むのが大切だと思います。エアコンの設定温度を見直したり、使っていない家電のコンセントを抜いたり、ドライヤーの時間を少し短縮するためにしっかりタオルで髪を拭くことだったり。私自身は、家にある不要な物をかなり減らしたのですが、そうすることで一つひとつの物に愛着がわいて、物を大事にするようになりました。

また、実際の行動でなくても、「家事は女性がやるものだという思い込みをやめる」といった価値観を見直すことも、SDGsへの大切なアクションになるんですよ。

――SDGsへの取り組みを一過性のものにせず、継続していくためのポイントはありますか?

たかまつ:
それは、「楽しむこと!」です。SDGs=我慢することだと感じていては、長くは続きません。私もすべてできているわけではないですし、完璧でなくてもいいんです。まずは生活を見つめ直してみる。そして、自分が楽しいと感じられる範囲で始めてみることをおすすめします。誤解されがちな部分ではあるのですが、SDGsへ取り組むことは、自分の好きなものをあきらめることではありません。

今まですべて買っていた物を、例えばレンタルにしてみたり、使った後にフリマアプリなどで誰かに譲るようにしてみたり…捨てない工夫はいくらでもできると思います。
それから、私がよく皆さんにお伝えしているのは、誰かに「ありがとう」と言われるのは楽しいことだよということです。SDGsのために行動し、誰かに「ありがとう」と言われる、地球に「ありがとう」と言われる…そんな風に想像してみると、やってみようかなという気持ちになるのではないでしょうか。

SDGsを伝えたい理由はただひとつ「子供たちにツケを回したくない」

――たかまつさんがSDGsを広める活動を始められきっかけを教えてください。

たかまつ:
私は元々、政治の方面から社会の課題や現状を伝える活動を始めたのですが、その背景には、若い人の影響力をもっと社会に活かしていきたいという想いがありました。
数年先の選挙の勝敗は描いていても、若い人たちやその先の子供たちの未来…50年100年先の社会のことまでを描いて示してくれる政治が、今あるとはいえない気がしていて、「それでいいのか?」という問題意識を持っていたんです。そんなときにSDGsができた。まさに、自分が考えていたことだと感じました。以前から、ODA(※6)の取材などで、開発途上国の課題を取材する機会が多かったことも影響しています。

※6 政府開発援助のこと。開発途上国の経済発展や福祉の向上のために、開発途上国に対して先進国の政府や政府機関が行う援助を指す。

――SDGsを伝えたいと思う気持ちの根底にあるのはどんな願いですか?

たかまつ:
私がSDGsを伝える活動を続ける理由はただひとつ、「子供たちにツケを回したくないこと」に尽きます。子供に、孫に、その先に、どんな社会を残したいのか?この視点は、きっと皆さんがSDGsに取り組む際の原動力になるのではないでしょうか。
魚よりもゴミの量が上回る海を残したいのか?過労死が頻繁に起きる、女性が働きにくい職場環境でいいのか?貧困や飢餓のある社会に未来の子供たちを送り出したいのか?ぜひ想像してみてほしいです。

――何かアクションを始めてみようと思った方へ、たかまつさんからメッセージをお願いします!

たかまつ:
SDGsは、2030年までに達成するという期限つきです。目標を達成するためには企業の努力が不可欠で、その企業の努力を後押しするのが私たち消費者なのです。企業の目標を絵空事にしないためには、「消費者が姿勢を示していくこと」がとても重要になってきます。

私は「買い物は投票だ」(※7)という言葉が好きなのですが、買い物をするときに、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいんです。商品の価格だけにとらわれず、「環境や人権に配慮されているものなのかな?」と考えてみる。配慮されていない商品が嫌だと感じたら、それを買い物で示していく。消費者に拒否されたら、企業は動かざるをえません。安い商品だけが良い物ではない、低価格の商品が生み出される背景まで考えられるように、私たち一人ひとりのリテラシーを上げていくことがすごく大切なことだと思っています。

できることから、楽しめることから、ぜひみんなでSDGsに取り組んでいきましょう。

※7 買い物(消費者が商品を購入する行為)は、企業に一票を入れる投票のようなものだという考え方。企業は消費者に選ばれる物を作り出そうとするため、消費者の選択(投票)が企業を動かし、市場の状況を決定している。

※2021年11月に取材しました。

<プロフィール>
たかまつ なな

時事YouTuber/株式会社笑下村塾 代表取締役
1993年神奈川県横浜市生まれ。時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題をわかりやすく伝える。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に「政治の絵本」(弘文堂)、「お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs」(くもん出版)がある。

 

執筆者プロフィール

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場説等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を新生銀行が保証するものではありません。

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