皮膚科医が伝授!あらためて知りたい正しい体の洗い方

正しい手の洗い方や歯の磨き方は、子供の頃に教わったことのある人がほとんどでしょう。一方、正しい体の洗い方となると教わる機会は少なく、「何となく」の自己流で洗い続けている人も多いのではないでしょうか。
そんな自己流の洗い方を見直すため、皮膚科医の大仁田亜紀先生に、体の洗い方に関する基礎知識を教えていただきました。

体の洗い方にマニュアルはありません

「体を洗うのは1日1回でいいですか?」「どこから洗うのが正しいですか?」など、外来で患者さんと話していると、体の洗い方についてよく尋ねられます。
実は、体の洗い方にマニュアルはありません。肌には個人差があるため、人によって正解が異なるからです。
ただし、体の洗い方に関する知識を持っていれば、自分にとっての正しい洗い方を見つけることができるでしょう。

体の汚れの7割は石鹸なしでも落ちる

そもそも、なぜ体を洗う必要があるのでしょうか。体の汚れの正体がいったい何なのか、皆さんはご存じでしょうか。
体の汚れの約7割は、「汗」だといわれています。汗はお湯で流せば落ちるので、体の汚れの7割はシャワーを浴びるだけでも落ちているということです。
残り約3割の汚れは、皮脂や古い角質などの汚れ。これらは、洗浄料の力を借りて洗います。つまり、皮脂が出やすい部分や、雑菌が繁殖しやすい部分を中心に石鹸などを使えば、体中をモコモコの泡で洗う必要はないのです。

■体の汚れの割合

正しく体を洗うためのポイント

ここからは、正しく体を洗うために押さえておきたいポイントをご紹介します。

1 泡でしっかり洗うべき部分を知る

体の中央(首から胸元にかけての部分)と背中の上部分は、皮脂が出やすいエリア。耳の後ろもベタつきやすく、加齢臭の原因となる箇所です。 また、汗が出やすくにおいが気になる部位は、雑菌が繁殖しやすい部分。脇の下や足の指のあいだなども石鹸などを泡立ててしっかり洗いましょう。頭や顔も皮脂が出やすいので、洗浄料を使用して洗います。

■泡でよく洗うパーツ

気を付けたいのが女性のデリケートゾーン。においが気になるからと念入りに洗いがちですが、膣内は弱酸性に保たれることで、雑菌の増殖を抑えています。 石鹸など、アルカリ性の洗浄料の使用はほどほどにしましょう。デリケートゾーンは最後に残った泡で、「ついでに洗う」くらいの気持ちで大丈夫です。

洗う順番に決まりはありませんが、体の中央から下に向かうのが洗いやすいと思います。ちなみに、腕のかゆみで皮膚科を受診する患者さんの中には、「まず腕からゴシゴシ洗う」という人が少なくありません。 ボディソープのCMで、腕にモコモコ泡をつける場面をよく見ますが、実際は、腕(上腕)は皮脂が少なく乾燥しやすい部分ですので、洗いすぎには注意が必要です。

2 石鹸?ボディソープ?洗浄料の選び方

石鹸やボディソープをはじめ、シャンプーやトリートメント、化粧品のほとんどには界面活性剤が使われています。界面活性剤は肌に良くないというイメージがあるかもしれませんが、目的や肌質に合わせて使えば問題ありません。

界面活性剤にはいくつかの種類があり、体を洗うための洗浄料には、「陰イオン系」の界面活性剤が使われています。洗浄料の中でも、石鹸はアルカリ性が強く、洗浄力・脱脂力が高めです。 ややつっぱる感じはありますが肌に残りにくく、ぬるぬるしないというメリットもあります。

ボディソープに含まれる界面活性剤も陰イオン系。その中でも、弱酸性の物、弱アルカリ性の物など、商品によって成分もさまざまです。最近は、アミノ酸系の成分を主体とするボディソープも種類が豊富です。 アミノ酸系のボディソープは、しっかり洗えて低刺激なのが特徴。一概にこれがおすすめという物はなく、肌質や季節、体のリズムに合わせて使い分けるといいでしょう。

陰イオン系のほかにも、ヘアコンディショナーなどに使われる「陽イオン系」、低刺激で子供用シャンプーなどによく使われる「両性イオン系」、洗い流さない乳液やクリームなどに使われる「非イオン系」など、 界面活性剤のタイプはさまざまです。中でも、陽イオン系は肌に残りやすいため、肌荒れの原因が実はコンディショナーの洗い残しだったというケースもよくあります。
自身が使用する物の成分の特徴を理解しておくことは、肌トラブルを避けることにもつながるので重要といえるでしょう。

■界面活性剤のさまざまなタイプ

3 洗浄料は十分に泡立てる

洗浄料は、泡の表面の界面活性剤が皮脂などの油分に吸い付くことで、汚れを肌から落とします。ですから、石鹸でもボディソープでも、洗浄料を使うときは十分に泡立てて使うのが鉄則。 せっかく肌に合わせて洗浄料を選んでも、泡立て不足では本来の洗浄力を発揮できない上、原液を肌につけているのと近い状態になるため、肌への負担が大きくなります。
泡立てには、やわらかいボディタオルや泡立てネットを使うと便利です。きめ細かな泡がしっかり立っている状態であれば、ゴシゴシこすらなくても、やさしく泡で洗うだけで皮脂汚れなどもきちんと落とせます。

■おすすめの泡立てグッズ

4 お湯の温度、シャワーの使い方に気を付ける

熱すぎるお湯のシャワーは、肌の乾燥につながります。お湯の温度は41℃以下に設定しましょう。
体が温まるからと、石鹸を泡立てる段階からずっとシャワーを浴び続けている人もいるかもしれませんが、それはNG。シャワーの水圧は意外と強いので、浴び続けると必要な皮脂まで落ちてしまうといわれています。
シャワーを使うのは、泡を洗い流すときだけ。冬場など浴室が寒いときは、暖房を活用するといいでしょう。浴室に暖房がない場合は、シャワーを使って浴槽にお湯を溜めると、ミストのようになって浴室全体が暖まります。

■シャワーの使い方

「今の自分を観察すること」に正しい洗い方のカギがある

ここまでのお話の中で、皆さんにとっての「正しい体の洗い方」が見えてきたでしょうか。乾燥、かゆみ、べたつき、におい、吹き出物など、何かひとつでも肌トラブルを感じていたら、体の洗い方が一因になっている可能性もあります。

「体の洗い方にマニュアルはない」とお伝えしましたが、正しい体の洗い方を探すための最大のヒントは、「今の自分をよく観察すること」にあります。例えば、季節によって肌の状態は変わりますし、 年齢によっても当然変わってくるでしょう。女性は、生理周期によるホルモンバランスの変化でも、肌のコンディションが揺らぎます。今の肌の状態をよく観察し、その状態に合わせて洗うことが非常に大切なのです。

正しい体の洗い方を実践すると、実は全身をゴシゴシ洗っていたときよりもずっと手間が減り、時間をかけずに体を洗えることに気付いていただけるはずです。 洗いすぎなければ乾燥が抑えられ、保湿にかけていた時間も短縮できます。忙しい人にとって、これは大きなメリットではないでしょうか。また、洗浄料や保湿剤が少量で済むという、経済的なメリットもあります。
皆さんも、ぜひご自身にとっての正しい体の洗い方を実践してみてください。

※2020年6月に取材しました

<プロフィール>

大仁田亜紀(おおにた・あき)

皮膚科医。長崎県島原市生まれ。長崎大学医学部卒。長崎大学病院皮膚科・アレルギー科、国立病院機構嬉野医療センター皮膚科医長を経て、 現在は地元島原市の医療法人社団兼愛会前田医院皮膚科・美容皮膚科に勤務。同院理事。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医として20年間皮膚科診療に従事し、延べ15万人以上の診療に関わる。

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