筋トレからおやつまで。おうちで活かせるおいしいプロテイン活用術

かつてプロテインは、「ボディビルダーやアスリートが飲む物」という印象が強くありました。しかし、近年は健康志向でトレーニングジムが身近になり、プロテインを含んだ食品も流通して、一般人が目にする機会も多くなっています。筋トレのお供はもちろん、病後で食欲不振のときやダイエットしたいときなど、さまざまな場面で活用できるというプロテイン。
効率良く、そしておいしくプロテインをとる方法を、管理栄養士の盛岡良行さんに伺いました。

プロテインは老若男女におすすめの栄養素

──プロテインはボディビルダーやアスリートが飲む物というイメージがありますが、そもそもどのような物なのでしょうか?

盛岡さん(以下、敬称略):
プロテインは、日本語に訳すと「たんぱく質」という意味になります。たんぱく質は、生物の体を形づくる大切な栄養素です。皮膚も髪も、もちろん筋肉もすべてたんぱく質でできていますので、良質なたんぱく質を効果的に取り入れることはとても大切なことなんです。
そこで、乳製品や大豆からたんぱく質を抽出し、余計な脂肪を取り除いて飲みやすくした物が、栄養補助食品としてみなさんが用いるプロテインなんです。ビタミンなどをサプリメントで摂取するのと同じような物ですので、「たんぱく質のサプリメント」と考えれば、わかりやすいのではないでしょうか。

──なぜ、効率良くたんぱく質をとるための製品が作られたのでしょうか?

盛岡:
ハードな運動をしている人ほど、より多くのたんぱく質が必要になるためです。スポーツ選手やハードな筋トレをしている人は、体重1kgあたりに必要なたんぱく質が一般的な活動量の人と比べて約2倍多いとされています。たんぱく質だけを20g摂取しようとすると、肉ならだいたい100gは食べなければなりません。たくさんの栄養をとらなければならないスポーツ選手にとって、特に少食な人など、すべてを食事でまかなうのは大変な場合があります。
また普通の食事で、摂取目標とするたんぱく質をとろうとすると、余分な脂肪なども摂取してしまいます。筋肉増量を目的としている人にとって、プロテインは摂取カロリーを抑えながら良質なたんぱく質を集中的に摂取できるというメリットがあるわけです。

──一般人にとってプロテインを摂取するメリットはあるのでしょうか?

盛岡:
たんぱく質を必要としているのは、アスリートやボディビルダーだけではありません。老若男女、すべての層に必要な栄養素です。一般的な筋トレのほか、ケガをした方のリハビリ運動など、筋肉に高負荷をかける運動後に、たんぱく質を積極的に取り入れることをおすすめします。
運動後は、体の中で筋肉の分解と合成が行われている状態なのですが、たんぱく質などの必要な栄養素が足りないと、分解ばかりが優位になってしまいます。そこで、プロテインによって効率良くたんぱく質をとることで、筋組織の効果的な回復を図ります。
できれば、運動の30分後、ゴールデンタイムと呼ばれる時間にたんぱく質をとることが理想です。もちろん、たんぱく質の摂取は食事でも構いませんが、プロテインなら場所を問わず手軽に摂取できます。

──筋肉だけではなく、「プロテインは髪や肌にもいい」という話を聞きますが、これは本当でしょうか?

盛岡:
そもそも髪や肌もたんぱく質から作られているため、たんぱく質が不足していたら髪や肌の状態も悪くなる可能性があります。プロテインがいいというのは直接的に働くというより、不足しているたんぱく質を補うという意味で使われていると思います。プロテインの摂取と同時に、生活習慣や食事内容も見直すことをおすすめします。
よく、「コラーゲンのサプリを飲んだり食べたりすると美容や健康にいい」と聞きますが、コラーゲンもたんぱく質の一種で、摂取したとしてもほかのたんぱく質と同様に消化の過程で分解されてしまいます。それなら、たんぱく質の摂取に特化していて、ビタミンやミネラルが含まれたプロテイン製品を飲んだほうが、より効果的に髪や肌の栄養になるのではないかと思います。

──プロテインは、子供の成長にもおすすめのようですね。

盛岡:
そうですね。ただ、子供用に作られたジュニアプロテインは、大人用のプロテインと成分が若干異なります。たんぱく質は控えめに、カルシウムやビタミンを多く摂取できるようになっているんです。
それは、子供は成長期になると、大人よりも多くカルシウムを必要とするからです。「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、小学校高学年男子になると700mg、中学生男子では1,000mgが推奨されている摂取量になり、大人と同等かそれ以上の量が必要になります。筋肉だけではなく、全体的な成長を考慮した配合になっています。

栄養が足りていないときもプロテインがおすすめ

──運動後以外に、プロテインを摂取するのにいいタイミングはありますか?

盛岡:
栄養が不足しているなと感じたときに、食事といっしょに摂取するのもいいですね。例えば、お昼ご飯を軽くパスタやおにぎりだけで済ませてしまうと、圧倒的にたんぱく質が足りません。そこで、補助的にプロテインを利用するのも手だと思います。
また、体調不良で食欲がなく、しっかりご飯が食べられていないという方にもプロテインはおすすめです。食事には、摂取することによって体温が上がる「食事誘発性熱産生」という効果があるのですが、栄養素の中でも特にたんぱく質が体温を上げてくれるんです。軽めの食事とプロテインだけでも摂取してもらえば体温が上がって、一日をより活動的に過ごせるのではないでしょうか。

──普段の食事にもプロテインを取り入れたほうがいいのでしょうか?

盛岡:
いえ、あくまでトレーニングをしてたんぱく質を必要としている場合や、足りない場合に限定したほうがいいでしょう。過剰に摂取しても筋肉がつくわけではなく、むしろ脂肪に置き換わって太る原因になってしまいます。1回のプロテインの量は、食事でとれる分も考慮すると20g程度がおすすめです。20g程度であればしっかりと体に吸収されて効果が期待できますが、30gを超えるとかなり緩やかになり、40g以上の摂取では吸収率はかなり低下してしまいます。
普段の食事でたんぱく質がしっかりとれるようであれば、プロテインを摂取するタイミングを食事時ではなく、間食やおやつ代わりとしてとってもらったほうがいいでしょう。

プロテインをダイエットに活かすには?

──ダイエットのために、食事をプロテインに置き換えることは可能なのでしょうか?

盛岡:
プロテインのみでダイエットをすることは、あまりおすすめできません。プロテインはあくまで補助的な食品です。プロテインは、比較的腹持ちがいいといわれていますが、食べ物を噛むことによって得られる満腹感はありませんので、個人差の度合いが強くなります。
また、仮に置き換えダイエットとしてプロテインだけでやせられたとしても、ずっとその食生活で過ごすわけにはいかないと思います。きちんと食事をとりつつ、運動とプロテインを組み合わせてダイエットすることをおすすめしたいです。

──プロテインをダイエットに利用する場合の方法を教えてください。

盛岡:
前提として「プロテインを飲んで脂肪が燃える」ということはありません。まず筋トレなど、ある程度負荷のある運動を行うことが基本になります。その上で、プロテインによって筋肉を効率良く回復させて、徐々に筋肉を増やして代謝を上げる。そして、結果的に基礎代謝が良くなり、やせていくという流れですね。
ちなみに、軽いウォーキング程度の有酸素運動であれば、あまりプロテインを飲む意味はありません。ダイエット目的であるなら、プロテインは筋トレと組み合わせるべきでしょう。

──プロテインが直接、ダイエット効果があるわけではないんですね。

盛岡:
そうですね。その点には注意が必要です。ダイエットに利用するということであれば、おやつをプロテインに置き換えるのはありです。炭水化物の塊のようなお菓子を食べるぐらいなら、脂質と炭水化物を抑えたプロテインを飲んだほうがいいですからね。
今のプロテインはココア味やバニラ味といったさまざまなフレーバーがありますから、甘い物の代用になると思います。よくジムに通っている方で、「プロテインはデザート」とおっしゃる方もいますからね(笑)。

プロテインの選び方とプロテインのおいしい摂取方法

──プロテインには、主に「ホエイ」「カゼイン」「ソイ」という3種類のプロテインがあるということですが、どんな違いがあるのでしょうか?

盛岡:
牛乳由来の物がホエイプロテインとカゼインプロテインです。ソイプロテインはほかの2種類と違って、大豆由来の植物性プロテインになります。もし、牛乳などの乳製品をとるとおなかが緩くなるという方は、ソイが良いですね。大豆由来ですので、イソフラボンや抗酸化作用のあるサポニンなどの栄養素も摂取できます。また、大豆たんぱく質には悪玉ともいわれるLDLコレステロール値を下げる効果が期待できます。ソイプロテインは腹持ちが良く、ダイエット時の間食にもおすすめです。

ホエイはカゼインよりもたんぱく質の吸収が早いため、筋トレ用のプロテインとして主流になりつつあります。ホエイは細かい分類があり、WPI(Whey Protein Isolate)やWPC(Whey Protein Concentrate)といった純度で区分けされます。WPIはたんぱく質の純度が高く、炭水化物や脂質が除去されたものです。一方、WPCはWPIよりもやや純度が低いのですが、その分、風味が良く、価格も安いので、一般的なプロテインとして最も多く流通しています。

カゼインはホエイと比べると吸収がゆっくりなたんぱく質です。この特性を利用して、血中アミノ酸濃度を高く維持する目的で使う人もいますが、少し上級者向けになります。基本的には吸収の早いホエイを選んだほうがいいでしょう。

──初めてプロテインを買う場合、どんな種類を選ぶといいのでしょうか?

盛岡:
まず、価格が気になるところかと思います。激安プロテインでありがちなのがたんぱく質だけで、ビタミン類など、ほかの栄養素がまったく入っていない物です。これは、個人的にあまりおすすめできません。
プロテインを選ぶ場合は、ビタミンB群が配合されているかにも注目してほしいです。なぜなら人体では、たんぱく質を摂取する働きが活発になると、同時にビタミンB6を消費するという性質があります。つまり、たんぱく質だけ摂取してしまうと、ビタミンB6が不足がちになってしまうんです。最低限、ビタミンB6が入っているプロテインを選ぶといいでしょう。

──プロテインは飲みにくいというイメージがある人もいます。どんな飲み方がおすすめでしょうか?

盛岡:
基本的に今のプロテインは昔と比べて大きく風味が改善されています。牛乳に混ぜて飲む方もいらっしゃいますが、ちょっとカロリーを気にしてみてください。
プロテインはだいたい1回分で90kcalから100kcalぐらいですが、200ccの牛乳でだいたい140kcalです。プロテインと合わせると230 kcalから240kcalにもなってしまいます。これは、ご飯一膳(140g)分相当のカロリーですから、ダイエット目的で筋トレしている方は、牛乳ではなく水のほうがいいでしょう。

──カロリーを気にしなければ、食品に混ぜても大丈夫でしょうか?

盛岡:
そうですね。アイスコーヒーと混ぜるのは個人的にも好きです。カロリーも少ないですからおすすめです。あとはココアも試してみてほしいです。イチゴ味のプロテインをココアに混ぜると、イチゴチョコのような味でおいしいですよ。
甘さが苦手な人は、砂糖の入っていない純ココアに混ぜるのも飲みやすくなるでしょう。そのほかにカロリーは若干ありますが、ビタミンEがいっしょに摂取できるアーモンドミルクもおすすめです。
プロテインは食品ですから、基本的に何に混ぜても構いません。ただ、ビタミン入りのプロテインの場合、温めすぎると壊れてしまう可能性があるビタミンもありますので、注意が必要です。

──盛岡さんはプロテインを使ったさまざまなレシピを公開されていますよね。ぜひ、おすすめのレシピを教えてください。

オーブンいらず♪おやつにおすすめプロテインバーの作り方

盛岡:
簡単でおいしいレシピでいえば、グラノーラを使ったプロテインバーは良かったです。市販のグラノーラにマシュマロとプロテインと、少しバターを足して、あとはレンジでチンして形を整えれば完成です。
プロテインはフレンチトーストやクッキー、ケーキにもよく合います。ソイプロテインはザラザラした食感があるので、特に焼き菓子がおすすめです。
なお、お菓子にするとだいたいカロリーは上がってしまうので、あくまでおいしくプロテインをとるための方法となります。普通のお菓子よりも、高たんぱくでビタミンもとれるというレシピと解釈していただけたらと思います。

──お話を伺って、プロテインは想像していたよりも、手軽に付き合える食品という印象が強くなりました。

盛岡:
そうですね。感覚的には、普通の食品と同じように捉えてもらっていいと思います。ただし、どんな食べ物でも適量をとってもらうことが前提です。プロテインの効果は個人差がありますので、それぞれの生活スタイルに合わせて上手に利用してもらうのが、良いプロテインライフにつながると思います。

<プロフィール>
盛岡 良行(もりおか よしゆき)

福井県坂井市出身。管理栄養士、健康運動指導士。管理栄養士の資格を取得後、食品メーカーとフィットネスクラブを兼務。フィットネスクラブでは600人以上の栄養相談を行っている。その後独立して、株式会社アストリションを設立。現在は、スポーツ専門の管理栄養士としてアスリートの栄養相談や部活動などでの栄養セミナー、ジュニアプロテインの開発を行っている。

●取材協力:株式会社アストリション
住所 福井県坂井市坂井町若宮3-2-13
URL https://athtrition.com/

 

執筆者プロフィール

  • 本稿は、執筆者が本人の責任において制作し内容・感想等を記載したものであり、新生銀行が特定の金融商品の売買や記事の中で掲載されている物品、店舗等を勧誘・推奨するものではありません。
  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、新生銀行の投資方針や相場説等を示唆するものではありません。
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