お盆玉とは?由来や相場を解説

近年、お盆休みに祖父母や親戚などから子供にお小遣いをあげる、「お盆玉」という習慣が普及しつつあります。
新しい習慣のため、あげるべきなのか、金額はどのくらいか、悩む人もいるのではないでしょうか。
今回は、お盆玉の相場や由来を解説します。また、お盆玉とはどのような風習なのか、世間での認知度と併せて見ていきましょう。

お盆玉はお盆休みに大人が子供にあげるお小遣い

お盆玉を簡単にいうと、お年玉のお盆休みバージョンのこと。お盆休みで親戚が集まったときなどに、祖父母や親戚などが子供にあげるお小遣いです。ただし、ここ数年で普及しつつある新しい習慣のため、お年玉ほどの知名度はまだないようです。

お盆玉をあげる場合は、「お年玉もお盆玉もそれぞれ渡す」という人が多いようですが、中にはお正月に会えずお年玉を渡さなかった代わりにお盆玉をあげるパターンもあります。子供にとっては、お正月以外にもお小遣いをもらえる機会が増えるため、うれしい習慣といえるでしょう。

お盆玉の認知度はどれくらい?

2019年6月にあおぞら銀行が55~74歳の男女約2,000名を対象に実施した「シニアのリアル調査」 によると、「お盆玉」という言葉を知っているシニアの割合は、41.5%でした。2016年の時点では16.6%で、以降は毎年認知率が上昇しています。同調査によると、「あげる予定」と答えた人は43.2%で、半数近くの子供が実際にお盆玉をもらっているようです。

また、「お盆玉」という言葉そのものの認知度は低いとしても、お盆休みの際に孫にお小遣いを渡したり、おもちゃや好きな物を買ってあげたりする祖父母は多いのではないでしょうか。そういった意味では、お盆玉のような習慣は古くから存在しているといえるかもしれません。

お盆玉の由来は?

お盆玉には、どのようなルーツがあるのでしょうか。お盆玉の起源については、いくつか説があります。
ここでは、有名な2つの由来をご紹介します。

山形説

ひとつは、江戸時代の山形地方にあった習慣から、お盆玉が広まったという説です。
当時、山形地方では、奉公人へ「お盆小遣い」を渡す風習があったといいます。その頃、商家で働く「丁稚(でっち)」の子供たちは多くが住み込みで、里帰りするのはお盆とお正月の2回のみでした。お盆小遣いは、丁稚がお盆に里帰りするときに、雇い主が渡していたものです。
小遣いといっても、当時はお金ではなく、新しい着物や下駄などを渡しており、お金を渡すようになったのは昭和初期頃からといわれています。その風習が徐々に一般化し、祖父母や親戚が子供たちにお盆玉としてお小遣いを渡すようになったという説が有名です。

文具メーカー説

もうひとつのお盆玉の起源が、文具メーカーの商品をきっかけに広まったという説です。
元々日本では、お盆になると全国的に子供にお小遣いを渡す人が一定数いたといわれています。そこで、2010年に山梨県のある文具メーカーが、お盆玉用のポチ袋を発売したことで、お盆玉がさらに広まっていきました。
発売当初はあまり売れ行きが伸びませんでしたが、その後メディアで取り上げられ、郵便局でもお盆玉用のポチ袋を販売するようになったことで、全国的にお盆玉の存在が知られるようになったとされています。

お盆玉の相場は?

先程もご紹介した「シニアのリアル調査」 によると、2019年にお盆玉をあげると回答したシニアの予定額は、平均6,100円でした。前年比300円増となっており、過去最高の金額です。
基本的には、お年玉よりも多少低めの金額を予定している家庭が多いようですが、お正月にお年玉を渡さなかった場合は多めに渡すケースもあります。

なお、お年玉と同様に、お盆玉を渡す子供の人数が多いほど、金銭的な負担も増えます。毎年お盆玉を渡すのであれば、前年よりも低い金額にならないよう、考慮する必要もあるでしょう。お正月にはお年玉も渡すとなると、さらに出費がかさむため、あくまで無理のない範囲で金額を決めることをおすすめします。

下記の表は、住信SBIネット銀行が2019年に発表した「お年玉に関する意識調査 2020」 の結果の抜粋ですが、お盆玉の相場としても参考にできるでしょう。年齢が異なる複数の子供へ渡す場合は、未就学児、小学生、中学生と区別すると金額を決めやすくなります。

■お年玉の金額の相場

小学生以下 1,000円以下
小学校低学年 3,000円以下
小学校高学年 5,000円以下
中学生 5,000円~1万円
高校生 1万円
※住信SBIネット銀行株式会社「お年玉に関する意識調査 2020」

未就学児へお盆玉を渡す際には、500円玉などの小銭や、代わりにお菓子をあげるといったケースもあるようです。未就学児は、まだ自分で何かを購入する機会がない場合も多いため、お盆玉もほんの気持ちとして渡す程度で良いでしょう。

また、大学生以上になると、アルバイトなどでお金を稼ぐことも多いため、お年玉やお盆玉を渡さなくなる家庭も少なくありません。お金ではなく、お互いに贈り物を渡すといったパターンもあります。

お盆玉用のポチ袋はどこで買える?

お盆玉用のポチ袋を確実に購入できるのは、郵便局です。毎年5月末~6月初めに、お盆玉用のポチ袋が全国の郵便局で販売されます。毎年、夏をモチーフにしたさまざまな絵柄のポチ袋が販売されており、2~3枚入りで200~300円程度で購入することができるでしょう。
また、スーパーやデパート、文具店などでも、お盆の時期になるとお盆玉用のポチ袋が販売されています。「おぼんだま」「お盆玉」などとプリントされた物が多いですが、特に決まりはなく、「夏のおこづかい」「ほんのきもち」などの言葉が書かれたものなど、さまざまなデザインがあります。

お盆玉は迷惑?

お盆玉は普及しつつある一方で、大人にとっては金銭的な負担が増えることもあり、迷惑に感じる人も少なくないでしょう。また、お盆玉をもらった子供の親としても、お礼やお返しをしなくてはと考えると、ありがた迷惑に思えてしまうかもしれません。
ここでは最後に、お盆玉は必ず渡さなくてはならないものなのか、お金以外をあげる方法もありなのかといったことについて見ていきましょう。

無理にあげる必要はない

普及しつつあるお盆玉ですが、だからといって無理に渡す必要はありません。先程もふれたように、お正月にお年玉を渡せなかった代わりにお盆玉をあげるケースもあるため、必ずしもお年玉とお盆玉の両方を渡す必要はないでしょう。
お盆玉をあげるかどうかは、渡す子供の人数や親戚付き合いの状況などを考慮して決めることをおすすめします。可能なら、親戚同士でお盆玉をどうするか話し合っておくと安心です。

おもちゃやお菓子など、物をあげるのもあり

お盆玉は現金が主流ですが、現金以外の物を贈るという方法もあります。子供が喜ぶおもちゃやお菓子、洋服、本、文房具などのほか、商品券や図書券などを渡す人もいます。
祖父母の中には、お正月とお盆休みくらいにしか孫とゆっくり会えないという人も多いはず。単に現金を渡すのではなく、いっしょに買い物に行き、好きな物を買ってあげて、思い出を作るのもいいでしょう。

お盆玉の金額や内容は家庭それぞれ

お盆玉は、全国的にはお年玉ほど昔からある風習ではなく、お盆で久しぶりに会えた孫や親戚の子供を喜ばせたいという気持ちから広まってきたものです。
記事中でもふれたように、必ずしもお盆玉をあげる必要はなく、金額や渡す物についても、無理のない範囲で決めていいでしょう。それぞれの家庭で、お盆玉の習慣について一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

執筆者プロフィール

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