まとまったお金の預け先はどうする?種類ごとに預け先を解説!
住宅購入や教育資金、老後のためなどに用意しておく、まとまったお金。しかし、せっかく一生懸命貯めたお金でも、つい気が緩んで使ってしまうことがあります。また、貯めたお金を銀行口座に入れておくだけでなく、資産運用を行って少しでもお金を増やしたいと考える人もいるでしょう。
そこで今回は、まとまったお金のおすすめの預け先を、種類ごとに解説していきます。
まとまったお金の種類
そもそも、まとまったお金の種類には「日常生活費」「生活防衛資金」「ライフイベント資金」「老後資金」の大きく4つがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
普段使う「日常生活費」
日常生活費とは、普段の生活で使う食費や交際費、家賃などのお金です。手取り収入=日常生活費ではなく、あくまで生活費として使う分を指し、普段の支出をもとに算出する必要があります。
急な出費で必要な「生活防衛資金」
生活防衛資金とは、病気やケガ、結婚式のご祝儀など、急な出費で必要なお金。目安としては日常生活費の6~12倍程度とされており、収入がなくとも、半年から1年間は生活できる金額が目安です。
生活防衛資金は急な出費のときに使う費用なので、日常生活費用の口座とは分けて管理しておきたいところです。あらかじめ別の口座を開設しておき、もしものときに引き出せるようにしておくといいでしょう。
10年以内を目安に使う「ライフイベント資金」
ライフイベント資金とは、結婚式や住宅購入の頭金、教育費など、ライフイベントで使うお金を指します。概ね、10年以内を目安に使う予定があるお金のことです。
定年後の生活資金に充てる「老後資金」
引退後、定年後の生活費として使用する予定のお金が、老後資金です。急に必要となるお金ではなく、老後まで時間がある場合は、資産運用などを通じて積極的に増やしていくことも大切です。
まとまったお金はどこに預ける?
まとまったお金とは、普段の生活では使わない、日常生活費以外を指す場合が多いでしょう。目的があって貯めるお金ですから、安心できるところに預けたいもの。ここでは、まとまったお金をどこに預けるべきなのか解説します。
生活防衛資金:メイン口座とは別口座で管理
生活防衛資金は、いつ必要となるかわからないお金。生活費として使い込んでしまうことなく、かつ必要なときにすぐに引き出せるところで、目減りするリスクを抑えておきたいところです。そのため、日常生活費の管理で使うメイン口座とは別に口座を開設し、そこに振り込んでおくか、もしくは元本が保証されている定期預金で管理するといいでしょう。
ライフイベント資金:使う時期に合わせて管理
使う時期が決まっているライフイベント資金も、できるだけリスクを抑えられる預け先で管理したいところ。前述のように、元本保証されている銀行の定期預金などが該当するでしょう。定期預金は1年、2年、3年など預入期間を選べるため、お金が必要になるときまで、締め切りを設けて預け入れることができます。
そのほか、ライフイベント資金の預け先は、下記3つの選択肢も検討してみてください。
・個人向け国債
個人向け国債は、国が個人向けに発行する債券です。国家から発行されるため、ほかの金融商品と比べると安全性が高く、比較的金利が高い傾向にあります(2022年7月13日現在、3年固定金利で表面利率0.05% )。元本保証があるわけではありませんが、国が破綻しない限り利息が払われ、償還日(国債の満期日)には投資した資金が戻ります。個人向け国債は10年変動金利、3年固定金利、5年固定金利の3種類から選択可能で、1万円からと少額から投資ができる点もポイントです。
・つみたてNISA(ニーサ)
これまで紹介した預け先と比べると少しリスクは高い傾向がありますが、つみたてNISAを利用する手もあります。つみたてNISAとは、年間40万円を投資額上限に、最大20年間は投資で得た利益にかかる税金が非課税となる制度。主な対象商品の投資信託は、コストが低く、比較的リスクが抑えられる銘柄を金融庁が厳選しています。投資初心者の人も、利用しやすい制度といえるでしょう。
・財形住宅貯蓄
ライフイベントとして住宅購入やリフォームを考えているなら、まとまったお金の預け先として財形住宅貯蓄があります。財形貯蓄は、「勤労者財産形成促進制度」の一種で、企業と国が連携して導入している制度で、住宅購入やリフォームに利用できる財形住宅貯蓄のほかに、一般財形貯蓄と財形年金貯蓄があります。
財形貯蓄制度が導入されている企業の従業員でなければ利用できませんが、給与天引きによって積立てができ、元利合計で550万円までが非課税になるというメリットがあります。
老後資金:リスクを抑えて増やす
老後資金は今すぐ使うお金ではなく、できるだけ増やしたいものですが、確実に必要になるためできるだけリスクは抑えたいもの。そこで、老後資金の最もポピュラーな預け先として、iDeCo(イデコ)が挙げられます。
iDeCoは自分で掛金を積み立てて資金を増やしていく、私的年金と呼ばれる制度です。公的年金に上乗せする形で、定年後の生活を支えてくれるお金となります。大きなメリットは、つみたてNISAと同様、運用益が非課税になるだけでなく、毎月の掛金が全額所得控除になること。老後資金を少しずつ増やしながら、なおかつ運用中は節税効果も期待できるのです。
なお、老後資金など長期的で安定的な運用で大切なのは、「分散投資」と「積立」。分散投資とは、投資先を国内外、幅広く分散させることでリスク軽減する方法。積立は、毎月1万円ずつを投資に回すなど、投資のタイミングを分散させる方法です。この点、iDeCoは対象となる商品が、投資信託というすでに投資先が分散された商品です。商品の購入方法も積立なので、自然とリスクを軽減しながら長期的な運用が可能な仕組みとなっています。
ほかに、勤務先で導入されていれば、財形年金貯蓄制度を利用するのもいいでしょう。
まとまったお金は目的に合わせて預け先を考えよう
お金を貯めると考えたとき、すぐに思い付くのは普通預金ですが、目的によってはベストな方法とはいえないかもしれません。
生活防衛資金やライフイベント資金のように、使う予定があるまとまったお金は、銀行の定期預金などに預けるのが基本。一方で、老後資金のように10年以上使う予定のないお金は、iDeCoなどの税制優遇制度を利用しつつ、長期的な資産運用で少しずつ増やしていきましょう。
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